『田園の詩』NO.13  「野鳥日記」
 (1994.4.5)


 三学期が始まったある日、小学1年生の二男が「お父さん、こんな鳥がいたヨ」
と自分で描いた一枚のスケッチを見せました。さっそく私は、野外ハンドブック
『野鳥』という図鑑を取り出して一緒に鳥の名前を調べました。ゴジュウカラで
した。シジュウカラは知っていましたが、この野鳥の名前は私も初めてでした。

 それ以来、息子は、登下校の時や家のまわりで見かけた鳥を図鑑で調べたり、
反対に、本に載っている鳥を見つけては報告するようになりました。そして、
学校で書かされる「せんせい、あのね…」形式の日記に、前日見た鳥の名前と
特徴を細かく書き始めたのです。

 「きのう、メジロをみました。…」
 「きのう、モズをみました。…」
 「ジョウビタキがいました。…」

 こんな作文がほとんど毎日続きます。読んでいて、息子はうまいことを考えた
なと思いました。というのも、私は小学校の頃、日記や作文が苦手で、夏休み
の絵日記には苦労したからです。

 川で泳いだことか、山でセミを捕ったことくらいしか、書くことを思いつきませ
んでした。息子のまねをして、その日見つけたセミや魚や鳥や蝶などを、ひとつ
ずつ取り上げていけば、夏休みがたとえ三ヶ月あっても、絵日記は楽々書けた
ろうにと、今更ながら残念でなりません。
      
 ある日の文に「きのう、ツグロをみました。…」というのがあり、それに先生が、
赤ペンで「いろいろ、いるのですネ」と、さも感心したように書き添えていました。
私が「ツグロじゃなくて、ツグミじゃないのか」というと、息子は「ああ、そうか」
といって図鑑を調べ直していました。

 次の日、学校から持ち帰った日記を読んで皆で大笑い。そこに「ぼくがみた
のは、ツグロじゃなくてツグミでした…」という一文が堂々とあったからです。

 笑い話をもうひとつ。女房が「川に、ペンギンがいる」というのです。それは
ゴイサギでした。発想力は女房のほうが豊かですが、観察力は息子のほうが
上のような気がします。

     
    アオサギです。  ゴイサギはよく似ていますが、もう少しズングリしているので、
    ペンギンに見えなくもありません。
もっとアップしようと近づいたら逃げられました。   
                           (08.3.5写)

                              (住職・筆工)

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